相続登記義務化:2024年4月1日施行
2024年4月1日、相続登記が義務化されました。
これは国として所有者不明土地問題の解消に向けた重要な取り組みであるだけでなく、日々生活する私たち全員に関係する重要なことですので、長くなりますが整理するため記事にしてみます。
所有者不明土地問題とは?
近年、全国各地で所有者不明の土地が増加しています。これは、相続登記がされないまま放置されるケースが続いたことが原因です。所有者不明土地は、管理や利用が困難になるだけでなく、災害時の対応や公共事業の進捗にも支障をきたします。
少し掘り下げてみます。
所有者不明土地問題
所有者不明土地問題とは、土地の所有者が死亡しても相続登記がされないこと等を原因として、登記簿を見ても所有者が直ちに判明せず、又は判明しても所有者に連絡がつかない土地が増加し、民間の土地取引や公共事業を妨げたり、近隣に悪影響を及ぼしたりする問題です。
わかりやすく言えば、土地の所有者がわからないので話合いができず、土地活用ができないということです。
所有者不明土地の現状
法務省の調査によると、2023年時点で全国の所有者不明土地の割合は約40%に達し、九州の面積を超える広さに相当すると推計されています。
所有者不明土地の増加原因
- 相続登記の義務化がされていなかった
- 相続人が複数いる場合、相続登記の手続きが複雑
- 相続人が所在不明
- 土地の価値が低く、相続人が登記申請をしない
- 高齢化や核家族化
所有者不明土地がもたらす問題
- 民間の土地取引や公共事業の妨げ
- 土地の管理が行き届かず、荒廃や不法投棄
- 災害時の対応の遅延
- 地域の活性化の阻害
相続登記をしないことで生じるデメリット
1. 土地の売却や担保設定ができない
相続登記がされていない土地は、登記簿上の所有者が被相続人(亡くなったかた)となっているため、相続人が土地を売ったり貸したりすることができません。
2. 固定資産税が増額される可能性がある
相続登記がされていない場合、固定資産税が本来よりも高額に課税される可能性があります。これは、相続人全員が共有持ち分に応じて課税されるためです。
3. 二次相続でトラブルが発生する可能性がある
相続登記がされていない状態で相続が発生すると、相続人の数が増え、遺産分割協議が複雑になる可能性があります。また、相続人の間で土地の所有権を巡ってトラブルが発生するリスクも高まります。
4. 土地の管理が困難になる
相続登記がされていない土地は、所有者が明確でないため、土地の管理が困難になる可能性があります。例えば、賃借人が家賃を支払わない場合や、土地に不法投棄が行われた場合でも、適切な対応を取ることが難しい場合があります。
所有者不明土地問題の解決に向けて
相続登記義務化
相続登記義務化は、所有者不明土地問題の解消を目的としています。相続人が不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記申請を行う義務を課すことで、所有者の明確化を図ることとなりました。
義務化の対象となる不動産
相続登記義務化の対象となるのは、土地、建物、マンション、アパートなど、すべての不動産です。過去に相続した不動産も対象となります。ただし農地や山林については、現在のところ対象外となっています。
相続登記を怠った場合の罰則
相続登記をしない場合、相続人全員に10万円以下の過料が科される可能性があります。
行政書士としてできること
行政書士の得意とする手続きや事務
相続登記は、相続手続きのほんの一部分です。相続には、以下のような様々な手続きが必要となります。
- 戸籍の収集
戸籍は、相続人の確定や遺産分割協議書の作成に必要な書類です。出生届、婚姻届、死亡届などの各種届出によって内容が変わったり、改正されたりするため、必要な戸籍を集めることは、戸籍関係になじみのない人にとっては難しいものです。
- 相続関係説明図の作成
相続関係説明図は、相続人全員とその続柄を図表で表した書類です。相続登記申請に必要となります。
- 遺産分割協議書の作成
遺産分割協議書は、相続人全員で遺産の分け方を協議し、その内容をまとめた書類です。遺産分割協議書の作成には、遺産の調査、相続人の確定、遺産分割案の作成など、様々な作業が必要です。
- 遺言書の作成
遺言書は、自分が亡くなった後の財産や子供の養育について、自分の意思を書き残しておく書類です。遺言書があれば、遺産分割協議書の作成をスムーズに進めることができます。
相続手続きは複雑で、時間も労力もかかります。
行政書士に依頼することで、これらの負担を軽減することができます。
まとめ
相続登記義務化は、所有者不明土地問題の解消に向けた重要な取り組みです。また上記のとおり、ご自身にとってもデメリットしかありません。
相続登記を含め、相続に関する手続きはできるだけ早めに済ませることをお勧めします。
相続に関することで困ったら、小さなことでもご相談ください。
投稿者プロフィール
最新の投稿
- お知らせ2024年12月5日12月の無料相談会のお知らせ
- お知らせ2024年11月12日11月の無料相談会のお知らせ
- お知らせ2024年10月8日10月の無料相談会のお知らせ
- お知らせ2024年9月5日9月の無料相談会のお知らせ